「トレーニングで心拍数を管理したいのに、スマートウォッチの数値がなかなか安定しない…」そんな悩みを抱えるアスリートは少なくありません。
もし誤ったデータをもとにハードな練習を続けてしまったら、十分な成果が得られないどころか、オーバートレーニングのリスクが高まるかもしれません。せっかく頑張っているのに、その努力が報われないのは残念ですよね。
ですがご安心を。最近のスマートウォッチは、心拍数計測の技術が進化し、より正確なトレーニングデータを得られるようになりました。ポイントは「どのように選ぶか」「どう使いこなすか」です。
私自身は、AmazfitのBand7という安価なスマートウォッチを使用しています。
激しいトレーニングと空手道をしている時でも使用しているので、壊れる可能性があるからです。
普段使いには、まったく問題ありません。本当にお気に入りです。
ただし、急激な心拍数上昇には全くついてこれないのが現状です。
HIIT後で、バクバク心臓がなっている時でも、100程度を表していることもあります。
私自身もできるだけ心拍数を正確に計測するスマートウォッチが欲しいと思いました。そこで今回、正確な心拍数を計測できるスマートウォッチについて、徹底的にリサーチしました。
本記事では、アスリート目線で心拍数計測の正確性が高いスマートウォッチの特徴を整理し、測定精度に影響する要因や精度を高めるための工夫を分かりやすく解説します。
正確なデータを味方につけ、トレーニングの効果を最大化するヒントを見つけたい方は、ぜひ読み進めてみてください。
あなたの競技力アップのお手伝いになるでしょう(私自身にも)!
この記事のポイント
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アスリートにおける心拍数トレーニングの重要性
トレーニング中に心拍数を意識することで、自分がどれくらいの強度で運動しているのか、またその負荷が適切かを客観的に把握できます。
- 運動強度のコントロール: 無理なく効率的に体力向上を目指せる。
- データに基づく調整: 練習メニューの強度や休息を数値を見ながら設定できる。
特に、ランニングやサイクリングといった持久系スポーツでは、心拍数トレーニングの考え方が普及しており、スマートウォッチの計測機能が非常に役立ちます。
また、心拍数を意識したトレーニングによって、パフォーマンス向上の効果が違ってきます。
世界的なアスリートのトレーナーとして有名な、中村氏がその著書で心拍数による5つのZoneとして紹介しています。
以下は、中村氏が紹介している心拍数を最大心拍数に対する割合で分けた5つのゾーンについての概要です。
運動の強度を把握する上で役立ちますので、トレーニング計画の参考にしてみてください。
最大心拍数は、220-年齢で求めることができます。
ZONE1(最大心拍数の約50~60%)
ZONE2(最大心拍数の約60%以上)
ZONE3(最大心拍数の約70~80%)
ZONE4(最大心拍数の約80%以上)
ZONE5(最大心拍数の約90%以上)
引用:中村 豊. No.1アスリートを育てたカリスマトレーナーが教える 世界最高のフィジカル・マネジメント――誰もが健全なカラダに生まれ変わる3つのメソッド (p.72). ダイヤモンド社. |
年齢が20歳でZONE4でトレーニングをする場合には、
220-20=200 200×0.8=160
計算により、目標心拍数は160拍となります。
ZONE | 最大心拍数に対する割合 | 主な運動例 | 期待できる効果・目的 |
---|---|---|---|
ZONE1 | 約50~60% | ストレッチ、軽いウォーキング | ウォーミングアップ、クールダウン、 基礎代謝の向上、運動不足解消 |
ZONE2 | 約60~70% | 軽めのジョギング、サイクリング | 有酸素運動の始まり、 脂肪燃焼の開始、生活習慣病の予防 |
ZONE3 | 約70~80% | ジョギング(やや強度高め)、 バイク運動 |
有酸素運動の最適領域、 さらなる脂肪燃焼、心肺機能の向上 |
ZONE4 | 約80~90% | ハードなランニング、 インターバルトレーニング |
筋力アップ、心肺機能の強化、 無酸素運動領域への突入 |
ZONE5 | 約90%以上 | スプリント、全力走 | 瞬発力・スピードの向上、 ハイレベルのパフォーマンストレーニング |
スマートウォッチで計測される心拍数の技術(光学式と電気式)
● 光学式心拍計
- 仕組み: スマートウォッチ裏面のLEDライトが血液中のヘモグロビン量の変化を測定
- 特徴: 常時測定が比較的容易で、多くのスマートウォッチに採用
- 注意点: 手首の動きが大きい運動(ボクシングやクロスフィットなど)では誤差が出やすい場合がある
● 電気式心拍計
- 仕組み: スマートウォッチの電極が皮膚に触れ、心臓の電気信号を捉える方式
- 特徴: 光学式よりも高精度とされることが多い
- 注意点: 腕にしっかり装着する必要があり、マラソンなどで汗をかく場面では装着感や使い勝手が課題になる場合も
アスリート視点では、「常時モニタリングしやすいか」「高強度の運動でも途切れにくいか」という点がポイントになります。
主要スマートウォッチの心拍数計測精度のポイント
下記は日本で入手しやすい製品を中心に、アスリートが心拍数トレーニングに活用する際の要点をまとめました。
メーカー | 機種 | 計測技術 | 精度の要点 |
---|---|---|---|
Apple | Apple Watch Series 8 | 光学式 + 電気式(ECG) | 高精度な計測が可能。 ランニングなど中・高強度運動での実績も多数。 |
GARMIN | vivosmart 5 | 光学式 | フィットネス/スポーツ分野で定評があり、基本的に安定した精度。 |
HUAWEI | Watch GT 5 | 光学式(TruSeen 5.0+) | 動的な運動時も比較的追従性が高い。高心拍数時には微妙に誤差が出る報告も。 |
OPPO | OPPO Watch | 光学式 | 正確性・GPS精度ともに良好。 ランニング・サイクリング向けにおすすめ。 |
Xiaomi | Smart Band 9 | 光学式 | バッテリーが長持ちで、日常的な記録向け。激しい運動では若干の誤差に注意。 |
Amazfit | T-Rex 3 | 光学式(BioTracker 3.0) | アウトドアシーンに強いが、急な心拍変化の追従にはやや苦手。 |
Samsung | Galaxy Watch 6 | 光学式 | 日常計測は精度高め。 運動時はブレのある報告もあり個人差が大きい印象。 |
Fitbit | Charge 5 | 光学式 | 24時間連続測定での安定感。 高強度運動時には稀に読み取り遅延あり。 |
FOSMET | QS40 | 電気式(ECG) | 詳細データは不足。 電極式のため理論上は高精度だが装着感次第。 |
心拍数計測の精度に影響を与える要因
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運動の種類
ランニングやサイクリングといった比較的一定のリズムの運動では誤差が出にくい一方、手首を大きく振る運動ではセンサーが安定しづらくなります。 -
装着位置
スマートウォッチは手首の骨から少し離して装着し、ベルトは適度に締めるのがポイント。 -
肌の状態
汗でセンサーが滑りやすくなったり、濃い体毛やタトゥーなどで光の透過率が低下すると読み取り精度が落ちる場合があります。 -
デバイスの個体差
同じモデルでもセンサーの個体差やファームウェアによって若干の違いがあることがあります。
アスリートが精度を高めるためにできること
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チェストストラップの併用
高強度のトレーニングをする場合や、正確性を徹底的に求めるアスリートはチェストストラップ型の心拍計を併用するのがおすすめです。
私は10年ほど前はチェストストラップ式の心拍系を使用していました。
体感ですが、精度は抜群です。心拍変化をかなり高精度にとらえていました。
ただし、「装着がめんどくさい」という欠点もあります。 -
リンク
しっかりと装着する
スマートウォッチを適度にきつめに巻き付けるだけでも、センサーのずれが減り精度向上に繋がります。 -
ファームウェア更新やキャリブレーション
メーカーが提供するソフトウェアアップデートを定期的に行いましょう。Apple Watchなどは走行時にGPSと連動して校正が入る場合があり、これが精度向上に役立ちます。 -
湿度や温度管理
汗によるセンサー部分の故障や、極端な気温条件下での計測不安定を避けるためにも、使用環境には注意しましょう。
おすすめスマートウォッチ
● Apple Watch Series 8
- ポイント: 電気式・光学式両方を搭載。アップデートが頻繁に行われ、計測精度の向上が期待できる。
- こんな人に: ランニングやサイクリングなど幅広いスポーツを行うアスリート。
● GARMIN vivosmart 5
- ポイント: ランナーやトライアスリートからの信頼が厚いGARMINブランド。運動時でも安定した心拍数トラッキングに定評。
- こんな人に: 長時間のトレーニングや本格的なスポーツ向けのデータを見たい方。
● Fitbit Charge 5
- ポイント: 24時間モニタリングとシンプルな操作性が魅力。疲労度の管理や睡眠の質と合わせて心拍数トレーニングを行いたい人におすすめ。
- こんな人に: ワークアウトだけでなく、オフのコンディションも含めて総合的にデータ管理したい方。
まとめ
アスリートが心拍数トレーニングを行う際、スマートウォッチの計測精度は重要な要素です。最新のモデルでは日常的な計測であれば誤差は最小限に抑えられていますが、激しい動きや環境によっては数値がぶれることも。
そのため、「スマートウォッチ単体で計測する」「チェストストラップも併用する」「ファームウェアをこまめに更新する」などの工夫を行い、可能な限り正確なデータを活用してトレーニングを最適化しましょう。
ぜひ、上記の情報を参考に自分の目的やライフスタイルに合わせたスマートウォッチを選び、効率的な心拍数トレーニングを実践してみてください!
FAQ(よくある質問)
Q1. ランニングやサイクリング中に心拍数が大きくブレるのはなぜ?
A. 手首の動きや汗、装着位置などが原因でセンサーが正しく反応しにくい場合があります。走るフォームやギアチェンジで腕を振ったり、汗でセンサーが滑るといった要因が誤差を招くことも。
- 改善策: バンドを適度にきつめに調節する、手首の骨よりやや上に装着する、腕を大きく振りすぎないフォームを意識するなどを試してみてください。
Q2. 光学式と電気式(ECG)のどちらがアスリート向けにおすすめですか?
A. 一般的に電気式は高精度ですが、装着感やこまめに計測する手間がかかる場合があります。光学式は常時モニタリングに向いていますが、激しい動きや腕の振りでズレが生じることも。
- ポイント: トレーニング内容や競技に合わせ、必要性と使い勝手を考慮するとよいでしょう。チェストストラップを併用するアスリートも多いです。
Q3. 運動強度が上がると心拍計測の誤差が増えると聞きましたが、本当ですか?
A. はい、激しい運動中は手首がブレやすく、光学センサーが血液の変化を読み取りにくくなるため、誤差が生じやすくなります。
- 対策: 長距離走など一定リズムの運動なら比較的安定しやすいです。インターバルトレーニングやスプリントなど短時間で急激に心拍数が変化する場合は、チェストストラップ型の心拍計がより正確に計測できる傾向があります。
Q4. スマートウォッチの心拍数計測を精度良くするためのコツは?
A.
- バンドのフィット感: 指一本入るか入らないか程度を目安に調整するとセンサーのズレが減ります。
- 測定前の環境づくり: センサー部分が汚れていないか、肌が乾燥しすぎていないかをチェック。
- ファームウェア更新: メーカーが提供するソフトウェアアップデートでセンサーのアルゴリズムが改善される場合があります。定期的に更新しましょう。
Q5. チェストストラップとスマートウォッチはどちらを使うべき?
A. シビアな計測が必要な場面(大会前の重要な練習やインターバルトレーニングなど)では、チェストストラップがより正確です。一方、日常的に常時測定をしたい場合は、スマートウォッチが使いやすいでしょう。
- 使い分け例: 「通常のジョグやサイクリングはスマートウォッチのみ」、「高強度のインターバルやスピード練習時はチェストストラップ併用」という形で併用するアスリートも多く見られます。
Q6. スマートウォッチを使った心拍数トレーニングのメリットは?
A.
- 運動強度の可視化: 客観的な指標が得られるため、トレーニングのやりすぎや不足を防ぎやすい。
- 記録・管理が簡単: スマホ連動で自動的にデータが蓄積され、トレーニング履歴を振り返りやすい。
- モチベーションの維持: 成長が数値で見えるため、継続しやすくなります。
Q7. バッテリーが持たず、長時間のトレーニングで途中計測が切れてしまいます。どう対策すれば?
A. 長距離のトレーニングやウルトラマラソンなどでは、バッテリーの持ちが重要なポイントです。
- 対策: 高機能モードをオフにしてGPS精度をやや落とす、画面の点灯頻度を減らすなど、省電力設定を活用しましょう。機種によっては“UltraTrac”のようなバッテリーセーブ機能が備わっている場合もあります。
Q8. スマートウォッチの心拍数計測をトレーニングプランにどう活かせばいい?
A.
- ゾーントレーニング: 最大心拍数を元に、ゾーン別に目標心拍数を設定すると効率的な練習が行えます。
- 疲労度チェック: 運動後の回復心拍数の計測を習慣化することで、自分の疲れ具合を客観的に把握し、翌日の練習メニューや休息を調整できます
参考論文
参考文献
・Bent B, Goldstein BA, Kibbe WA, Dunn JP. Investigating sources of inaccuracy in wearable optical heart rate sensors. NPJ Digit Med. 2018 Aug 23;1:42.
・Su SH, Huang CT, Huang HH, Huang PH, Kuo TB. The Accuracy of the Apple Watch in Measuring Heart Rate and Oxygen Saturation for Patients With Chronic Diseases. Sensors (Basel). 2023 Jan 20;23(3):1172.
・
・Fitbit Charge 5 review. Android Authority.
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